鶏鉾の見送は国の重要文化財に指定されているベルギー製の毛綴織で、叙事詩「イーリアス」の一場面を描いたものと解説されています。巡行にはこれを忠実に復元新調されたものが使われています。

 大屋根妻部の前部破風、後部破風ともに雌雄の鶏の彫刻が施されています。

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鶏鉾の説明

▼下の文は鶏鉾の鉾町に掲示されていた京都市の駒札説明板(下の写真)を書き写しています。

鶏鉾(にわとりほこ)

 中国の史話に由来する。昔、唐堯(とうぎょう)の時代に天下がよく治まり、訴訟用の太鼓(諌鼓 かんこ)も用がなく苔が生え鶏が宿ったという故事によって、その心をうつしたものという。鉾頭(ほこがしら)の三角形の中の円形は鶏卵が諌鼓の中にある意味で、鶏鉾の名の象徴となっているともいわれるが、詳細は不明である。
 真木(しんぎ)の中ほどの「天王座」には航海の神といわれる住吉明神を祀る。天水引は下河辺玉鉉(しもかわべぎょくきん)、下水引(したみずひき)は松村呉春(まつむらごしゅん 一七五二~一八一一)、松村景文(けいぶん 一七九九~一八四三)など四条派画家の下絵になるものである。前懸(まえかけ)のペルシャ絨毯(じゅうたん)、胴懸(どうかけ)の草花文様インド絨毯は、近年復元新調されて用いる。見送(みおくり)は有名な毛綴(けつづれ)で、近年の調査によるとトロイの皇子ヘクトールが妻子に別れを告げる図であるという。この見送は、十六世紀頃ベルギーで製作、江戸時代初期に輸入されたものと考えられ、国の重要文化財に指定されている。旧後懸(きゅううしろかけ)の寛永十五年、町住者の寄進銘のある朝鮮毛綴「日月鳳凰に牡丹の図」二枚継(にまいつなぎ)は大切に保存されている。
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▲上の文は鶏鉾の鉾町に掲示されていた京都市の駒札説明板(下の写真)を書き写しています。