子供を人にさらわれて、一人信濃国伏屋の里で木賊刈をする老翁が我が子と再会する、世阿弥作の謡曲「木賊」を題材にしています。

 御神体人形の老翁像は腰に蓑をつけ、右手に持つ鎌の柄は朱色で、左手に持つ木賊は作り物ではなく本物の木賊だそうです。

木賊山の説明

▼下の文は木賊山の山鉾町に掲示されている京都市の駒札説明板(下の写真)を書き写しています。

木賊山(とくさやま)

 謡曲「木賊(とくさ)」に由来する山。我が子を人にさらわれて、一人信濃国伏屋(しなののくにふせや)の里で木賊を刈る翁をあらわしている。
 能の舞台では、木賊を刈る翁に声をかけた僧が、翁の家に招かれ、酒杯を重ねている内に翁は我が子を思い出して泣き始め、そして踊り狂うという展開で、最後は僧が伴っていた少年が実は翁の子であり、親子が対面するという結末である。
 ご神体(人形)は腰に蓑(みの)をつけ、左手に木賊、右手に鎌を持つ。木彫彩色の頭は仏師春日(かすが)の作といわれ、足台には「元禄五年(一六九二)六月吉日」の墨書銘がある。水引(みずひき)は日輪鳳凰文様(にちりんほうおうもんよう)の綴錦(つづれにしき)及び道釈(どうしゃく)人物刺繍(ししゅう)、前懸(まえかけ)は唐人交易図刺繍、左右の胴懸(どうかけ)は平成十一~十三年に復元新調した中国故事人物図の綴織(つづれおり)、見送(みおくり)は牡丹双鳳文様(ぼたんそうほうもんよう)綴錦である。欄縁(らんぶち)金具は緻密(ちみつ)な雲龍文様で、角金具(すみかなぐ)は唐団扇(とういちわ)、木賊と銀兔文様のものが用いられている。旧見送として仙人聞香図(せんにんぶんこうず)の綴錦があり、旧水引には中東幾何文様イギリス織絨毯(じゅうたん)、他に縁地草花文様の後懸(うしろかけ)などが保存されている。
             京 都 市
▲上の文は木賊山の山鉾町に掲示されている京都市の駒札説明板(下の写真)を書き写しています。